似顔絵

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短編小説や書評、コラムなど

東野圭吾先生の「パラレルワールド・ラブストーリー」を読みました。東野作品はあらかた読んだよな〜などと考えていましたが、著作数が多い、新刊のスピー ドも早いと凄い先生ですね。そんな中、本書を手に取りました。題名のパラレルワールドとは並行する世界、同一人物でも世界でも似て非なるものが同時系列に て違う次元で存在しているという考え方です。本書では、一般的なこの解釈とは微妙に異なります。そこら辺りは、さすがに理知的な東野先生ならではといった ところです。ラブストーリーに関してですが、内容は控えておきますが、夏目漱石先生の「こころ」を彷彿とさせる、オマージュ的な感じが致しました。同先生 の作品全てに共通の、清廉で美しい人としての考え方が、時には苦しく、時には清々しく展開されています。良く男女間に友情が成立するだろうかという永遠の テーマがあります。ケースバイケースかも知れませんが、難しいところです。本書で、それをメインテーマにしているわけではないのですが。1998年に初版 が出ています。私がwindows98が出て仕事や趣味で使用していたころ、本書のような作品が描けている先生に脱帽です。昔から、SFはとてつもない遥 か彼方の未来、近未来、異世界と設定は様々ですが、先の世界を考案する作家先生方に驚嘆致します。この作品もwin98の頃に描いたとは思えない、現状の 私達にも全く違和感なく、近未来を感じさせてくれる作品です。

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【クリスマス2019】 「今年もパッとしなかったな…」 常家 太49歳は昨年に引き続き、別の意味で脱力していた。 自分なりに全力を尽くしたつもりだが、目に見える程の成果は出なかった。上級国民どころか、下層も下層。年収が全てとは言わないが、それがスペック社会の現実であった。 無論、そんな男に心を寄せてくれる女性は皆無なのかも知れない。 しかし太を支えてくれたのは、幼少時から彼を見守って来てくれたアップライトピアノ。鍵盤に触れている時、穏やかな気持ちに包まれる。生活苦の中でも、お稽古を単独で続けた。 そんな折、聖夜の音楽堂で演奏する機会を頂いた。クリスマスの僥倖。敬虔な想いを抱ける、バッハの神聖な作品を奏でることにした。静寂の中、丁寧な旋律が響く。曲目を終えた後、太は観客席に向かって深々とお辞儀をした。 拍手喝采。つたない演奏かもしれないが、心を込めて優しく鍵盤を指先で追った。人々の温かい気持ちに目頭が熱くなる。 幻想…。 実際は自宅で弾いていた。お母様と親友の切内 明37歳のみがリビングで微笑んでいる。 「ありがとう」自分を理解してくれる人達に聴いてもらえたことに、太は心から感謝した。 しかし、もう2名、彼の演奏を聴いている人間がいる。4月のお花見で、太らを凝視していた女性達なのか。彼女らは太の自宅付近、電柱の陰で、壁越しに少しばかり聴こえて来る音階に耳を傾けていた。雪の降る、凍てつく寒さの中で。 徐に玄関の呼び鈴が鳴る。これは福音なのだろうか。 「あの…」

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【はじめまして令和】 遂に元号が改められた。平成生まれの魔美子にとって、初めての改元体験。両親に聞くと、昭和から平成に変わる頃は彼らにとっても初体験、昭和天皇ご崩御での自粛ムードもあり、官民共に一週間程の準備期間しかなく、慌ただしかったようである。 新時代は、まだ始まったばかり。私も一から築いて成長して行きたいと彼女は感じた。 ピアノを習い初めの頃、バイエルに出会った。子供用の練習教本と一般的には考えられているが、実に良く出来た段階的に音楽を学んで行ける楽譜である。その中には美しいメロディーや曲が106もあるのだ。 中級者になった彼女だが、今でも練習時に好んで弾くのが、バイエル66番。広い草原をゆったりと歩いているような、穏やかな気持ちになれる。それは新時代の幕開け、その新たなる始まりの第一歩に、自分ではふさわしく思えた。令和時代、つまり未来、未知数のことが多そうだが、基本に立ち返ってまた出発してみよう。そして新たなる天皇陛下と皇后様のご立派な姿勢に見習って行きたいと思う魔美子だった。

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【ありがとう平成】 今日は30年と4ヶ月続いた日本の元号、平成の最終日だ。昭和から平成に変わった頃、常家 太49歳は17歳だった。昭和天皇の崩御に即して、国民として記帳をするべくお母様と共に初めて皇居に行ったのを、昨日のことのように思い出す。 まぶたを閉じれば、この30年間、様々なことがあった。自然と涙が溢れ出て来る。 ショパンの『別れの曲』が頭の中を流れて来た。寂しそうな旋律でありながら、美しい思い出を大事にさせてくれる曲だ。そして続け様に『夜想曲第2番 変ホ長調 作品9-2』いわゆるノクターンOp.9-2と呼ばれる、哀しい気持ちを癒してくれる穏やかな曲が心を慰めてくれた。 太は自分にとって苦難の体験、記憶の方が多かった平成という時代の中にも、明るい思い出が、たくさんあったことを追憶していた。昭和生まれで幼少期を両親に大切に育ててもらい、青年期から中年期を平成で過ごせたことにも感謝したいと改めて感じる。 平成の天皇陛下と皇后陛下の献身的なお姿、お互いを思いやる素晴らしさに常日頃から感銘を頂いていた。まだ独身の太だが、敬意と憧憬が同時に彼の心を温かくしてくれていた。 そして、思わず言葉を発していた。「さあ、新時代に向かおう。」

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【愛の挨拶~2019春~】 今年もお母様の大好きな春が訪れていた。ピアニストであった母親はこの季節になると、メンデルスゾーンの『春の歌』を度々弾いてくれた。そしてお父様からプロポーズの際に贈られた指輪を見ながら、エドワード・エルガーが婚約者に贈った曲、『愛の挨拶』も涙を流しながら弾いていた。常家 太49歳はこの思い出に、切なさと共に心から感謝をした。 そして太は、こう考える。「挨拶とは素晴らしい」と。 桜が満開になり、太は親友の切内 明37歳と一緒に週末、お花見で賑わう公園に来ていた。楽しんでいる人々に向けて、少しでも明るく爽やかに聞こえるように頑張って声を出してみる。 「皆様どうも、こんにちは」「ありがとうございます」 不審な目で見られること多々であったが、中には挨拶を返してくれる人もいる。 見知らぬ人々に唐突に声を掛けることが、果たして良いものかどうか、疑問に思う明であった。しかし人々と積極的に交流して行くことにも意義を感じていたので、これはこれで良いのかもしれないと明は感じることにした。 美しい桜の花びらが、ゆっくりと舞いながら世の中を優しく包み込んでくれていように感じる。 しかし、桜の木の陰からじっとこちらを見つめている女性が佇んでいることを、その時の彼らは知る由もなかった。

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【イチローありがとう!】 2019年3月21日木曜日を持ちまして、遂にイチロー選手が引退しました。素晴らしい野球観戦の日々をありがとうございました。私が初めて同選手を生で見たのは、西武球場で開催された日本でのオールスターゲーム。いつもと違うレフト守備でしたが、レフトの芝生席で私は寝転がっていたので間近に見れました。 若鮎のように飛び跳ねる、天才打者。背中越しにも、その姿は光り輝いていました。スラリとしたシルエットと躍動感、スピーディーで無駄のない切れ味抜群の一挙手一投足。今でも脳裏に焼き付いています。 プロ野球をしているイチローを生で見たのは、私にとっては、それが最初で最後になりましたが、テレビで引退試合を見ていて心に込み上げるものがありました。元号が変わる直前でグラウンドを速やかに去る。鮮やかな引き際だなと思いました。 あのパチーン、パチーンと、いとも簡単に打っているかのような打撃。打つ度に快感が全身を駆け抜ける。不世出とも言える程の選手。本当に素晴らしかったです。

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【バレンタインデー2019】 数日前に行ったデパートの特設売り場は、女性客で大賑わいだった。魔美子は、そのあまりの熱気に気圧されていた。生まれてこのかた、父親以外にチョコレートを渡したことはない。2019年も、そのつもりだった。 父親には、お小遣いを貯めていた分で、有名ホテルのチョコレートがなんとか買える。 しかし今、特別なチョコレートを渡したい男性が彼女にはいるのだ。まだ話したこともない。 告白する勇気もない。でも頑張って手作りチョコレートを用意してみようか。 バダジェフスカの曲、『乙女の祈り』が頭の中を流れていた。 花びらが静かに揺れ動き続けるような旋律に、胸がほんのりと熱くなって来る魔美子だった。

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【成人式2019】 「今年の成人式は、晴れたな」 街にはスーツ、紋付袴、振り袖といった様々な衣装に身を包んだ若者達がいた。皆、希望に目を輝かせているようだ。見ている私も微笑ましくなる。 常家 太49歳は、かつて自分が経験した成人式を思い出していた。 当時、浪人中の辛い頃だった。両親が用意してくれた真新しいスーツ。感謝の気持ちで会場に向かわなければいけない。しかし、他の若者達を見ると、気後れしてしまう。 自分以外の男女が皆、充実しているように見えたので、あまり気乗りがしなかったのだ。 それぞれが学業、あるいは就職、あるいは若い恋人達となり青春を謳歌していると思った。 太は孤独だった。 会場に重たい足取りで、ようやく到着した。市長や議員、地元の名士達の小難しい話を沢山聞かされるかと思うと帰りたくなった。しかし太は、人の話を素直に聞ける性格でもあった。 誰が話したのか、今ではもう思い出せないが、聞かされた。 「生涯において、唯一人でも良いです。親友を作ってください」 この言葉はずっと憶えている。20歳以降も本当に心を許せる友達は出来ないと自分では思っていた。そんな太にも49歳にして、光が訪れた。 電脳街で少年達に、おやじ狩りをされていた時に救ってくれた男、切内 明37歳との出会いだった。明は気弱だが、正義感の強い男で柔道家だった。 生涯の親友を作る。実に素敵な言葉だったなと太は、若き日の成人式を思い出していた。

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【2019年 部分日蝕part1】 1月6日(日)の午前8時46分頃から部分日蝕が開始されました。午前11時過ぎには終了しました。 前回の金環食(皆既日蝕)は世界的にも大注目されて、私も日蝕グラスを用意。とても楽しみにしていたのですが、厚い雲に覆われて、晴れ間から夜になる、という劇的な場面に遭遇出来ませんでした。 今回は部分日蝕なので、夜になることはありません。しかし、私はそれでも見たかった。 滅多にお目にかかれない瞬間を。というわけで、2012年に購入した日蝕グラスを自室で探しました。ありました。7年も前の日蝕グラスがありました。嬉しくて、再会に快哉を叫びました。 さて、鑑賞開始。少しずつ太陽の上から月が降りて来ます。ジリジリと降りて来ます。 日蝕グラスで見ていますと、太陽が夜の月のように見えました。 全て月に覆ってもらって、金環食を見たい。晴れ間から夜になれと思いましたが、今回は部分日蝕なので、多少は我慢です。それでも特別な自然現象を見れたので、素晴らしい思い出になりました。 尚、今年はもう1度チャンスがあります。12月26日です。1年に2回も部分日蝕が見れます。 見逃した方、ご興味がある方は、是非お待ちください。 ちなみにグアム島では、金環食になるみたいです。 私としては、そちらで見てみたいところです。 行けるかどうかは、わかりませんが…。

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【クリスマス2018】 夕暮れ時もとうに過ぎ、月の光が住宅街の路面を照らしている。頭の中で、ドビュッシーの曲が流れていた。常家 太49歳は、一人孤独に家路を歩んでいる。しかしその足取りは、例年になく重かった。 「今年も頑張ったのだけどな…。」 いつもは幅広の丸い背中が、一回りも二回りも小さく見えた。 トボトボと歩いていたら、遠目に路地が光っている。あそこは確かゴミ集積場であったはずだ。 近づいてみると作業台の上に白い猫がいて、妖しい瞳でじっとこちらを見つめている。 「ん?猫ケーキ!」なんだ、こりゃ。太は人知れずつぶやいていた。 幻かと思ったが、猫や机、パッケージに包装されたケーキ類。実在しているようにしか見えない。実際、それらは月明かりからの影を形成していた。 「クリスマスケーキをどうニャ」白い猫が話しかけて来る。 太には自宅で待ってくれている母親がいる。親子二人、肩を寄せ合うように生きて来た。 10数年前から大事に着ている冬服だが、時代遅れ感は否めない。着飾っている見知らぬ人々を街で垣間見るにつけ、羞恥と悔恨に心をかき乱され、うなだれている自分が情けなかった。 生活は困窮しているが、クリスマス位は生クリームやスポンジケーキ、苺をお母様に味合わせてあげたい。今年も恋人は出来なかったが、そのことについてはあまり考えたくはなかった。 「あの、苺ショートケーキを2つください」 白い猫は、しなやかな動きで小さい箱入りのケーキを渡してきた。 釣り銭をもらう時、猫は優しい言葉をかけてくれた。 人間の言葉を話す猫に驚くばかりの太だったが、とても温かい気持ちになれた。クリスマスの奇跡を感謝すると共に、不思議な猫の幸せを願う心のゆとりも生まれていた。

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【秋が去る】 2018年も既に12月上旬。切内 明37歳は秋の紅葉を愛でる暇もなかった。仕事に忙殺されていたのである。売れっ子というわけではない。ただ、貧乏暇無しといった状態だった。しかし、そんな明にも夢があった。歌手になりたかったのだ。 子供の頃、近所の小夜ちゃんとお手てをつなぎながら、歌っていたのも追憶の彼方だ。 あの頃は良かった。夕焼けを見ながら、二人で楽しく過ごしたっけ。 「明くんの唄、小夜、大好きー」 「そ、そう。ありがと」 あの可愛らしかった小夜ちゃんも、今はもう人妻だ。 短い秋に別れを告げるために、明は公園に向かって歩み出したのだった。

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【魔美子さん動く!】私は恋をしたい。 今までそうした気持ちになることはなかった。 魔美子は青空に浮かぶ白い雲を見ながら、物思いにふけっていた。 現代は色々な文字を使用した名前がある。 自分の魔という字を珍しがられることは、一昔前に比べて少なかった。 しかしこの名前には、私の家系では重要な意味がある。 物心ついた頃、魔法が発動した。自然発生的かと思ったが、血筋だった。 両親や祖父母から、私は正式に魔術の指導、心の在り方、覚悟を伝えられる。 使えるのは、一人につき一つの魔法のみ。 私の場合は、火に関する技だった。 転校を繰り返して来たのは、行き着いた場所で遭遇する、 あるいは引き寄せてしまう、反社会的な超能力者との戦いの余波とも言えた。 同世代の娘のように、恋に憧れているゆとりもない程、苛烈な現実。 安らぎの日々を想像している魔美子の黒髪が、風になびいていた。

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【魔美子さん動く!】~私立 白薔薇友愛学園の高等部~ 教室内が、ざわついていた。どうやら転校生が来るらしい。担任教師の沼尾が入って来る。 「皆、仲良くやってくれ」覇気のない、ぼそぼそとした小声だ。教師が女子生徒に自己紹介を促した。 つややかな黒髪の少女が頬を赤らめて佇んでいる。 「魔美子です。日乃 魔美子です」 男子生徒の目が光る。「うお、スゲーヤバいんじゃね。激カワじゃね?!」 語尾のイントネーションが上がるのが、昨今の若者らしい。心理的に高揚の効果がある気がする。 女子生徒も、一斉にざわざわし出した。 「美人だけど、なんか陰がある感じじゃない?」 「でも、活発でさっぱりしてそうな子じゃん」 様々な意見や感想の洗礼を浴びるのは、昔から転校生の宿命でもある。 魔美子は、このような状況下に慣れていた。これで何度目の転校だろうか…。 真ん中より、やや後ろの空いている席に座った。早速、右隣りの女子生徒が話しかけて来る。 「私、早見ルナって言うの。よろしくね、日乃さん」 派手そうに見えるが、優しい笑顔で話しかけてくれた。 「魔美子でいいですよ」 「そう?、じゃあ私のことは、ルナって呼んで」 「タメ口でいいよ。気軽に行こうよ」 「うん、ありがとう。ルナ」 私は純粋に嬉しい。本当に友達を大切にしたい。 こうして魔美子の新たな学園生活が始まった。

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【バレンタインデー2018】 その日の二人は、これまでにない自信に満ちていた。それもそのはず、常家 太49歳、切内 明37歳の存在は日本、いや世界中を席巻していたからである。youtuberとして思い切って顔出しを決意。1月に動画投稿をするやいなや、中年男の悲哀が大いに共感を呼び、いまやテレビ出演の声もかかっている。 「今年のバレンタインは凄いことになりそうだな、ムフーぅ!」 太が興奮しながらまくしたてた。 「ええ、そうっすね。俺達にもやっと運が向いて来ましたよ」 明もいつになく強気だ。 夢にまで見たその日、トラック3台分のチョコレートが二人に送られて来た。食べ切れない量に驚愕しながらも目一杯の快哉を叫んだ。 「ふああああ、うーん、うん?」 「あれ?今の全部、夢?、おい明、起きろ!」 「ふああ、何れすか太さん」 その時、ふすまが開いた。太のお母さんだった。 「はい、バレンタインデーのチョコレート」 「明くん、太と友達になってくれて本当にありがとうねー」 「二人で仲良く、おばちゃんのチョコ食べちゃってくださいな~」 「あっ、ありがとうございます」恐縮しながら明が頭を下げる。その後、無言のまま、太と明はチョコレートを口にした。 「おい、明、なんかこのチョコ、しょっぱくねーか?」 二人から大粒の涙がこぼれ落ち、チョコと一緒に食べていた。 やはり母の愛は偉大だった。 今年もまた肉親以外の女性から義理チョコすらもらえなかったが、彼らの心は、ほんのりと甘かった。

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【寒い季節】 萌美は冬が苦手だった。ボクシングを始めてから代謝が良くなり冷え性に悩まされることは少なくなって来たのではあるが…。 そんな彼女も来年は進路を決める学年で、大学進学を考えている。しかしある難題を抱えていた。他の教科は成績優秀だが、現代文だけ苦手なのだ。昨今、読解力の低下が声高に叫ばれている。その要因の一つは本を読まなくなったことが言える。活字を追う習慣が、なくなって来ているのである。 ネット世代に限らず、現代は見出しやテロップを見る機会ばかり。画像や映像などで視覚的に思考を受け取る。スマホでのやり取りも短文が日常的になり、なんと一文字だけというのが流行しているという始末。SNSやメールでは短文もやむを得ないのだが。本を読むということは、何も勉強というわけではなく、むしろ娯楽と言っても過言ではない。教養を身につけるなどと、難しく考える必要はないのだ。 そんな折、萌美はボクシングジムにテスト結果の用紙をロッカーに置き忘れていた。 ロッカーは半開きだったので、隙間から廊下に答案用紙はふわりと飛んでしまった。 「うん、なんだこりゃ」 ジムのとりみつ会長が拾ってしまう。「うーむ」 「おい萌美~」 「あっ、ちょっと何であんたが私の答案見ているのよー!」 「バカ、廊下に落ちていたんだよ」 とりみつ会長は萌美に言った。「お前の成績上げてやるぞ」 そして10冊程、小説を渡した。会長は見かけによらず読書家だった。 「いいか、ジャブと同じだ。何でも繰り返しが基本。まずいいから読め」 ぶつくさ言っていた萌美だが、会長の進めた珠玉の蔵書は、本来理解力の早い彼女の頭脳を覚醒させたのだ。会長が言う。「これはきっかけに過ぎない。読むことを続けろ」 「お前の人生、もっと豊かになる」 カッコつけて会長は、その場を後にした。 萌美はほのかな恋慕を会長に抱いてしまうが、それもまた人生かもしれない。

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【Christmas2017】 常家 太49歳、切内 明37歳のクリスマスはと言うと… 「フンフンフフーン」 楽しげな鼻歌が聞こえて来る。太は一年中ゲームをしているが、クリスマスもゲームをする。80年代、90年代ならいざ知らず。今時、恋人がいない聖夜などいくらでもあるのだ。 「ヘイヘイ、ヘヘーイ」 今、夢中になっているのが、新作のFPSとオープンワールド。素早いゲームパッドさばきで太は世界観に没入していた。次世代ゲーム機のソフトはリアルさや質感、背景やキャラの動きなど、微に入り細に入り以前よりも更に磨きがかかっている。例え恋人がいなくとも、遊んでいる時は最高の気分になれる。 「ちょっと太さん、一緒に異業種交流会に行くのはどうなったんですか?!」 明はクリスマスに少しでもいいから、対面で話をしてくれる女性と出会いたかった。 ハロウィン以降、人との触れ合いを積極的にして行こうと決めていたにもかかわらず、最近二人の意識に少しずつ溝が出来ていた。 これまでゲームに興味がなかった明だが、太からその素晴らしさを教えてもらった。 それはそれで良いのだが、女性と知り合う活動を二人で一緒にしたい。と明は懇願した。 だが太は実際のところ、まだ尻込みをしていたのだ!

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【Halloween2017 10月31日】 常家 太49歳、切内 明37歳は思い切って渋谷に来ていた。 太は数年前に通販で買ってしまったSM衣装。明は普段着ている柔道着だった。 様々なコスプレイヤー達は、統一性こそないものの、皆輝いて見えた。凄い人出により混雑していたが、混乱していないのが日本らしく思える。 「一緒に写真撮ってくださ~い」 突然若い女性の集団が二人に迫って来た。 太と明は、女の人に声を掛けられた経験が全くないので狼狽してしまった。 引きつった表情のまま、撮影が終わると彼女達は足早に去ってしまう。きっと次に興味を持ったところに行くのだろう。 「なあ、明。来て良かったなあ」 頬を紅潮させながらも太が、ぽつりとつぶやいた。 「太さん、俺、感激です。」 明はすでに泣いていた。 もっとコスプレを研究して、来年もきっと来よう。 二人は、人々と触れ合う第一歩を踏み出したのだった。

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【Halloween2017】 常家 太49歳、切内 明37歳は毎年、日本のハロウィンに参加していなかった。 と言うのは適切ではない。お互い友達も恋人もいなかったのだ。 二人は最近知り合ったので、渋谷の交差点に行ってみようと思った。 しかし若者達のパワーや衣装に圧倒され、気後れしていた。 本当は恋人を作って、楽しく過ごしたかったのだ。 来年こそは、来年こそは…!

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LINEアニメーションスタンプ第2弾  【動く!ナイスガイ】 常家 太49歳は、VR女性と恋をしていた。しかし深層心理では、現実の女性に憧れていた。まだ自分でも、そこに気がついていないのだ。切内 明37歳は、恋人どころか友人がいなかった。自分の部屋で、いつも女性との会話を練習していた。現実は厳しい。しかし夢を持つ。希望を持つ。それは大事なことなのだ。

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【キャラクター紹介01】常家 太(49歳)は元来、頭が良かった。しかし様々な悔しい思いを重ねて生きて来た。社会に出て一流出版社に入社したが、人間関係の軋轢に悩まされ3年で退社。しかし探究心があり綿密に取材するので、フリーライターとして独立。 最近、ユーチューバーの活動を開始。様々な分野を人々に伝えたいと熱心に動画制作に励んでいる。今のところ、ゲーム実況がメインで、人気が出て来ている。 ビデオゲームは、孤独な太を慰めてくれる友達だった。ゲームの世界で太は常に自由で生き生きとすることが出来た。 恋愛は元々諦め、VRで女性と擬似恋愛することで満たされていた。ただ、そんな太も49歳になり、自分の心意気を見てくれる女性を大事にしたいと決心しつつあった。

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LINEアニメーションスタンプ 【動く!ボクシング女子】の2017年度お花見
その日は毎年恒例のジム主催お花見に来ていた。例年に比べて、雨や肌寒い日々が続き、やっと晴れ間の見えた間隙を縫って、ようやく相成ったのだった。 とりみつ会長の趣味もあるが、練習生も全体的に静かな花見が好きだった。そのため、大勢で賑わっている所ではなく、近所の穴場的公園で風流を楽しもうということになっている。 一般的にはお弁当や、あるいはアルコールが入るのが常でもある日本のお花見。 しかし、ボクサーは試合日のみならず、普段から食事や水分の摂取に関しては、皆自覚を持っていた。 おにぎりとお茶の実にシンプルな宴席。ただそれを苦にする者は誰一人としていなかった。 むしろ皆が日頃の仕事や学業、ボクシング練習から解放されて晴れ晴れとしている。 約一ヶ月前に麗華との壮絶なスパーリングをしていたのが夢のようだった。 これについては、後日また述懐したい。 地味な宴席もたけなわの頃、フラフラと3人組の男達が近づいて来た。千鳥足だが、体格が優れた者ばかりだった。 「あれー、なんか酒もなくて、すごーくつまんなさそうじゃねえ」 子分的な男が言った。 「こんなキレイなお姉さん達もいるのに、こっちの若い男達くんは 何やってんすかー」 もう一人の子分が馬鹿にしながら、へらへらしている。 「お姉さん、これ一緒に呑もうよお〜」 リーダー格の男が、麗華の肩をしゃべりながらつかもうとした。 あっさりと座ったまま、交わす麗華。 やにわに最年少16才の萌美が、立ち上がった。 「ちょっと、あんた達どっか消えなよ!」 「も、萌美ちゃん!」 京子が心配して立ち上がる。 「あー、なんだちっこいの。だけど可愛いじゃねえですかぁ〜」 リーダー格は余裕を見せたが、子分達はムキになって来た。 「おい、なめんじゃねえぞ!俺らはケンカまじ強いっすよぉ」 こりゃ、まずいなと会長がどっこらせと腰を上げ始めた時だった。 ヒュン、ヒュン、ヒュン、ヒュン! 萌美の左ジャブが空中に軌跡を描いていた。 「あんた達、これ見る〜?」 パラパラパラー、散り行く桜の花びらが萌美の左手から、そよそよと風に乗って舞って行く。 ジムの練習生達も今にも飛びかかりそうな目つきをしていたが、自制しているようだった。 リーダー格の男は、どうやら気がついたらしい。これはまずいと…。 足早に去って行ってしまった。 ふうー、何事もなくて良かったわい、と会長は座り直した。 「萌美ちゃん、ジム以外でそんなことしちゃ駄目よ」 京子が心配そうに言う。 麗華はクスッと笑っていたが、安心したようだった。 かくして今年のお花見は、ちょっとした波乱がありそうだったが、大事に至らずに済んだ。 少しずつその美しい姿を散らせている桜。 この娘達の開花はもう間もなくだなと思う会長だった。

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LINEアニメーションスタンプ 【動く!ボクシング女子】へ男性からのホワイトデー!
3月も半ばに入り、季節は少しずつ春に近づいていた。すでに黄昏時に入り、美しい夕焼けもその姿を潜めつつあったため、ジム内には電灯のまばゆい光がまたたいていた。 「人様から頂いた場合は、きちんとお返しをしないとな。ましてや、女性だからな…。」 バレンタインデーにボクサー3人娘から、手作りの義理チョコレートをもらった日が一ヶ月前のこと。 「早えなあ、一ヶ月なんてものは。」 ボクシングジムの、とりみつ会長はその日の様子を思い出していた。 義理でもチョコを練習生達にも贈ってくれた彼女達。感激のあまり思い切りダイブしてしまったが、 あれはやっちまったなあと一人ごちていた。 若い娘達だもんな。そうでなくとも、当然か…。しかし、あのパンチは効いたわ。 咄嗟に反応出来たあの二人は、やはり有望だな。麗華は事も無げに避けていたが、あいつの場合はなあ…。 まだ、あの男を忘れられないでいるのだろうか? ふと背後に気配を感じた。 「会長、今私のこと考えていたでしょ。」 麗華が涼しい顔をして言った。 「何を自意識過剰なこと言ってるんや。さあ、練習生の様子を見るか」 とりみつ会長は内心動揺しながら、その場を取り繕っていた。 後ろから麗華の鋭い視線を感じる。 「しゃあないなあ。久々にスパーリングでもするか?」 うなづきもせずに、麗華は無言でリングに上がった。 「会長、これだけは言っておくわ。私は彼のことを、もう忘れているわよ」 彼とは、会長の愛弟子であり、世界王者にもなった男性ボクサーだった。天才肌だったが、交通事故で他界していた。麗華とはとても近しい存在の優しい男だった。 「会長、私の心配よりご自身の立場を考えてくださいね。」 麗華が冷たく言い放つ。ここ最近、成長著しい京子と萌美。 彼女達は、一周り以上は年上であろう会長に密かな好意を抱くようになっていた。 別段、そう仕向けたわけではない。師弟愛と恋愛の錯覚に陥っているだけなのかもしれなかった。 そうした京子と萌美の感情の起伏に、麗華はとうに気がついていた。 「おいおい、こう見えても俺は選手としてしかみておらんぞ。」 しかし会長の心は、揺れていた。女性に好意を抱いてもらうことなど、ほとんどなかった 干からびた青春時代。こんなおっさんに擬似的だとしても恋愛感情を抱いてもらった ことが、嬉しかったのは否めない。 「このスパー、私が勝ったらあの子達から手を引いてもらいますからね。」 麗華はそう言うと、思わず会長は心とは裏腹なことを言っていた。 「な、何を言うとるんか。お、俺がいつ好きだのなんだの言ったんかい!」 そんな中、スパーが開始された。 長身でスピーディー、今でも絶大な威力を誇る神の右手を持つ麗華。ボクシングは引退したが、 プロの現役SPだ。 男でも簡単にやられる。対して、俺の方はもうボクサーを引退して 20年は経つ。練習生相手に体を動かしていたとはいえ、不利は目に見えている。 麗華に対してわずかな強みは、こちらの方がウェイトが3kg以上あることと、選手時代から頼みの綱にしていた、とある技だ。 ボクシングにおいて、3kgの差は経験者ならわかっている。 実際、かなり違って来るのだ。 麗華には新しい恋をしてもらいたい。俺自身も疑似恋愛と勘違いしているであろう京子と萌美に、いつまでも心をほだされているわけにも行くまい。 「じゃあ、そろそろ行くよ、会長!」 麗華が突進して来る。 とりみつ拳闘ジム創設以来、後々にも語り継がれる壮絶なスパーが開始された。

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LINEアニメーションスタンプ 【動く!ボクシング女子】からのバレンタインチョコレート!
その日は朝からジム内の様子が、何かそわそわとしていた。男子練習生達がコソコソしているように感じる。特に試合が近いわけでもなく、いつもの緊張感とも違う。ボクシングジムのとりみつ会長は、小首をかしげていた。 「何やろなあ〜、この変な高揚感のような雰囲気は…。」 ふとカレンダーを見て、ようやく気がついた。 「そうか、バレンタインデーか!」 こりゃあ、ちょっと気をつけんと…。 そこで、麗華、京子、萌美の携帯電話に連絡をしてみた。 「今日なあ、義理チョコとかいらんからな。練習生に変な勘違いや期待持たせても仕方あらへんし、お前らも余計な気を使わんでええからな」 麗華 「会長、言われなくても当然そんなのやらないわよ。」 京子 「会社ので一杯なので、助かります。すいません…。」 萌美 「はあ?当然よ当然。あたしは好きな人いないもーん」 ふう、年頃の娘を持った父親のような気分やな、この日は。 胸をなで下ろした会長だったが、練習生達の視線は冷たく凍り付くようだった。 「バカヤロー、しけたツラしてねえで練習しろや!」 そうこうするうちに、もう夜の19時位になろうとしていた。 古ぼけて、立て付けの良くない入り口の扉が音を立てて開く。 すると一斉にジム内に明るさが蘇った。 「うん?どうしたんや?」 神々しい女神達3人がそこにいた。 麗華:「ほら、会長。みんなにチョコ持って来たよ。」 京子:「3人で手作りしてたんです。皆さんの分です。」 萌美:「特大サイズだよ、感謝しなさいよねー!」 「お、お前ら…、必要ないって言ったのに。。」 と言いつつ、会長の心はウルウルと感動していた。 「仕方ねえなあ。でも、ありがとうよ!」 「おう、野郎共も礼を言っておけよ!」 例え義理チョコでも頬が上気する練習生達。 会長は、感極まり彼女達に盛大に言ってみた。 「可愛い教え子達よ、俺の胸に飛び込んで来い!」 と言いながら、自分で彼女達に飛び込む会長。 その瞬間…、 ドカ、バキ、ガツーン!! 会長の顔は腫れ上がっていた。 麗華:「会長、調子に乗らないでください」 京子:「驚いてつい、ストレート入れちゃいました…。」 萌美:「私なんか、ボディとアッパー入れたよー♪」 「ふふ、お前らいいパンチ持っているじゃねえか」 吹っ飛ぶ刹那、会長は思った。 「はは、これでいいんだ。」 (^^;)/

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号外【4257】イチロー選手、日米通算での世界最多安打記録達成おめでとうございます!いやあ、遂にやりましたね。素晴らしい、素晴らし過ぎます。4256安打目は、彼の持ち味である内野安打。42歳にして、この快速。なんという身体機能。そして4257安打目は、いつもの美しいスウィング、パチーンと引っぱりクリーンヒット。流し打ちもキレイ、引っぱりもキレイ、センター返しもキレイ、狙い打てるホームランもキレイ。もう本当に脱帽、尊敬、憧憬、誇り、言葉では言い尽くせませんね。 私が初めて実際のイチローを見たのは、かなり昔、友人と行った西武ライオンズ球場。オリックス時代の姿でした。スラリとした長身、手足の長さ、躍動感のある動き。見ているだけで惚れ惚れと致しました。 怪我がないのが、いつも凄いと思っています。ご本人は天才と言われるのが、あまり好ましくはないみたいですね。「それだけの努力をして来たから」と言っています。 かの3冠王3回の落合博満様も、人の見えないところで相当の鍛錬をしていた模様。 先天的な才能や体格といった持って生まれたもの、これはスポーツ選手にとっては、大変に貴重な両親からの恩恵ではあります。 近年の野球は、体が大きい程、有利といった側面は否定出来ません。イチローにしても落合にしても、身長は180cm程度。プロの野球選手としたら、標準、もしくはやや低い位ですね。 それでも両者共に、あの凄み。上手さ。魅了さ。 打席を見ていて、面白いと感じさせる選手は、そうはおりませんですね。イチローの打席、打棒、快速を見ていると、心がトキメキます。 非常に爽快感があり、こっちもなんだか嬉しくなってしまいます。 最近ネットで読んだ記事ですが、昨年の彼の打率は本人の選手史上最低記録2割2分位だったそうです。その理由が、若いパワー系投手のストレートに押されまくったからだそうです。 で、今年はそういった投手との対戦成績が5割とのこと。これはもの凄いことです。読み進めてみましたら、どうやらバッティングスタイルをこれまでのムチがしなるかのようなスウィングから、バットを前側に叩き出すようにしたからとのこと。 打者のフォームとはそうそう変えることなく、維持するのが一般的ではあります。 ですが、イチローの場合は、何が駄目だったのか分析、どうしたら良くなるのかを考案。そして実践。それが結果につながる。 (分野は違えど、とても参考になりますね) 合理的で頷けますが、フォームを変えて結果に直結することを次のシーズンで可能にするなどといったことは常人の成せることではありません。 さらに読んでいますと、上体が先に前に出て、それでも腕は後ろに残っているといったことを指摘していた元大物メジャーリーガーもいました。 私は一ファンであると同時に、少年野球を昔少々しておりまして、学生時代には、孤独に野球を書面や図解にて研究しておりました。 プロの解説者も言っていますが、上体が前にせり出す。これは、投手側からすれば、打ち取り易い形になります。 打者の基本は、今回左打者視点で考えますと、体重や重心は左足に残し、インパクトの瞬間に前側でパワーを解放して打球を飛ばすことです。 こうした基本的なフォームは理にかなっております。が、近年のイチローの場合、前側に先に体を出す、これは重心の半分を先に出すので、腕がいくら後ろに残っていてもパワーの分散、フォームの崩れが通常なら起こりえます。 それでも、彼の場合、いや彼しか出来ないと大物メジャーも言っていましたが、 日本で言う上体の前ツッコミをしながらも、後ろに残した腕と重心をテークバックから先に出した上体に合わせて、合致させてヒットに持ち込む。通常の野球理論的には、不合理に近いのですが、完成させている。 テレビやニュースで見ていますと、簡単に打っているように見えますが、こうした隠された剣聖のような神業がありました。 驚くべきことは、歳を重ねるごとに人はこれまでのスタイルに固執しがちですが、彼は何が最善かを優先して考えていることです。フォームの変更もそこにあります。 ふう、長くなりました。 最後に、私がこれまた7年前に描いた憧れのイチロー選手のイラストを掲載します。今の私の人物描写技術や質感からすると、掲載も躊躇われるレヴェルではありますが、現在、描き直しをしている余裕もありませんですので、この作品を載せます。 絵の技術的には現在より劣りますが、絵の中に宿った魂は、技術などもう忘れる、大切なのはその想いという考え方もその一つ、といったことを追記しておきます。 日本人として、世界に誇れるイチロー。 メジャー3000本まで、あと22本。更にはその先も…。 人々に元気や夢、やる気をくれる、イチロー。本当にありがとう。 これからも応援しています。

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【苔】さあ、師走です。今年もあっという間でしたね。クリスマスになる前に、皆様バタバタお忙しいと思います。かく言う私も、結構ドタバタしています。慌ただしい年末に今日のこの一枚。スーパーに行く道すがら、黄色から赤へと変貌して行く紅葉を見ておりました。ちょいと目線を下げますと、そこには古木に張り付いている苔を発見しましたよ。華やかな葉に見惚れつつ、このしっとりとした苔に心が引きつけられました。 人間が慌ただしく日常を送っている中、ひっそりと佇むように、それはありました。最近は苔玉なんていう室内で鑑賞する苔もあったりしますね。園芸店で見かけます。非常に和の味を感じます。 この古木に付いた苔。私が子供の頃なんかだったら、見向きもしない、というか、気付かない。やはり人は歳を重ねると、こうしたものに、ゆっくりと感動して行くのかな、なんて思いました。 せわしないさなか、心落ち着かせてくれる苔に感謝の気持ちで一杯で御座います。

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